つみたてNISAについて思うこと
9月某日、金融庁が主催する「つみたてNISAフェスティバル2017」が開催されたようです。
つみたてNISAとはなんぞや、ということを書いても何番煎じですので、制度の詳細は親切で素晴らしいブロガーさんにお任せして、自分はぼちぼち感想でも。
つみたてNISAとはなんぞや、ということを書いても何番煎じですので、制度の詳細は親切で素晴らしいブロガーさんにお任せして、自分はぼちぼち感想でも。
◆「つみたてNISA」は国が作った、期間限定の海水浴場
つみたてNISAに関しては、私は「遊泳禁止区域がきっちり決められた国営の海水浴場」のような印象を持ちました。
設置期間は20年、外界から一切遮断されている真水のプールではなく、海が荒れている時にはしっかりとその波が届き、しかし足のつかない沖までは決してさらわれないよう頑強な柵が設置されたもの。
私たち日本人は義務教育において投資に関する教育を受けていません。
投資とは今まで、いや今もでしょうか、泳ぎ方は自分達で勉強することが前提で、そしてそれでも溺れるリスクを許容できる人だけが自己責任でやるものだった。
個人が投資をしようとする場合、ろくな知識もなしに、もしくは独学で勉強して相場の海に入らないといけなかったわけです。
しかも投資には正解がないとくれば、泳ぎ方のセオリーはそれなりにあるもののそれぞれが我流の泳ぎ方になる。
ちなみに私は最初荒波にバタフライで挑みました。足のつく場所でしたが。
泳ぎを助けるツールや泳ぎ方を指南する本は多数あるけれど、
「どういう泳ぎ方」をすれば良いかを様々な情報を見て考え、「どこまでが溺れない場所」であるのかは自分の目で見る。
(そしてそれが正しいのかはわからない。)
私の場合は どんな泳ぎ方があって、どんな海が存在し、それぞれの海の波の荒さはどれくらいなのかを爪先から入って少しずつ確かめながら、腹落ちするところで今のスタイル(インデックスファンドの積立)に落ち着いたという感じでした。
「ずっと全財産を(安全だとされている)陸の上に置いておくリスク」ってのも考えました。海にはもちろんリスクがあるけど、資産は陸と海で分散させておこうかなという感じ。
とはいえ周りにはリーマンショック等の突然の大波で資産を流されて諦めてしまった方も、
「ここは安全に泳げますよ~」と”親切な指導員”に誘導されるがまま海の中に入って帰らぬ人になった方もいるはずです。
さて、相場の海に泳ぎ出すことでリスクが伴います。
体感的には海に入ることで3つくらい戦いが始まる。
①マーケットとの戦い:相場の変動リスクに晒されるのを耐える
(波が来ることによって資産が増減する。プラスになればマイナスにもなることを理解する)
②人間との戦い:ノルマ商品・高マージン商品を回避する
(「販売会社オススメ」の高額なマージンのくっついたノルマ商品を売りつけられる・金融商品についてのリスクを理解せぬままメリットだけを信じてハンコをついてしまう・紹介料の高いだけの悪質な商品を悪徳なFPに勧められて買ってしまう 等を回避する)
③自分との戦い:リスクを取り過ぎない・感情に振り回されない
(知らずに資金を投入しすぎてしまい、損失を被った時に自分の許容度を超えていることに気づいて青くなる・感情に左右され、売ってはいけないところで売る、買ってはいけないところで買う 等を回避する)
普通に投資をする上では上記の脅威が潜んでいると思うわけですが(いやもっとあるのかもしれませんが)、この「つみたてNISA」では②③は可能な限り金融庁の手入れによって排除されているように感じます。
普通の口座と変わらず存在する脅威は 金融商品の値動きに付随するリスク、すなわち①のマーケットのリスクが主。
②については販売される金融商品は徹底的にスクリーニングされ、販売会社が儲かるだけの悪質な金融商品は排除されている。
まあ多少の荒はあるのかもしれませんが、それでも無害な顔をして「これを買えば儲かりますよ」と言って手数料モリモリのノルマ商品を執拗に勧め、海に入ったところで獲物を喰らい尽くすシャチはいないわけです。
③のリスクもあるにはありますが、むしろ初心者の方が少額で体験できるようにちょうど良い投資額上限が設定されているような印象です。
投資金額は年間6万~40万円の範囲。そして「非課税投資枠上限(40万)までの範囲内で”一定額ずつ”買い付けるルール」がつみたてNISAには定められています。つまり初心者が失敗しがちなナンピン買いでドボン(下がったら買いつけることを繰り返すうち、いつの間にか取り返しのつかない額を投資に回していて多額の含み損になって退場)がない。
そして上限枠の40万を使い切る必要はなく、月5千円程度の設定額にして年間6万程度の投資額にしてもよいのですから、
”投資の怖~い話”でよく恐れられる
「株に全財産つぎ込んで溶かしちまったぜッハッハァ!子供には株だけはやるなと遺言書いたぞさらばッ!」みたいなリスク取り過ぎエピソードや、
「おばあちゃんが窓口で親切に勧められて、大事に貯めていた100万を出して買ってしまって、いつのまにかなくなって…およよおよよ」というエピソードを量産することは絶対にないということです。
まあ全財産40万の人がつみたてNISA口座に全部入れたら全財産つぎ込んだことになるとは思うのですが…NISA口座で全額リスク資産にしても、つみたてNISA内で採用される金融商品には「価値がまったくのゼロ」になる商品はない。
(…が全財産は投資に費やしてはいけないとは思う)
すなわち、つみたてNISAとは慣れた投資家にとっては物足りない場所でも、初めての方にとっては願ってもない「足のつく場所で泳げる」場所。
波が押し寄せてきた時の感覚、波に乗る時の感覚を覚える。
まさしくつみたてNISAは、はじめての泳ぎ方を学ぶには最適な場所なのです。
◆つみたてNISAが語る金融庁の思惑
今までしなかった投資家イベントを主催する、個人投資家からの制度に対しての要望を募集する、つみたてNISAで採用される金融商品から悪質な商品がほぼ除外されている…というあたりから、金融庁の方々は個人投資家との距離を縮めてくれたように思います。
ここに至ったのも理由ありきで、基本的に「完全なる善意」で新たに制度が設立されるということはないと思ってはいます。
金融庁の公開したつみフェス2017の資料データによれば、我が国の家計に存在する現預金は938兆円。
<参考>金融庁HP:つみたてNISA関係
これをキャッシュとして滞留させるのは好ましい状況ではなく、いくらか投資に流したい。
ですがそれは「国民に”自主的に”投資をしてもらう」ことでしかかなわないわけです。
だから「貯蓄から投資へ」を掲げて、今まで海に入ったことのない人達を水に慣れさせようというお膳立てしてくれている。
イベントの開催や個人投資家との交流は国民の投資教育と一般への認知が足りないことに対する策というところでしょうか。
◆個人投資家の税制改正要望ベスト5はかなうのか
※全部私個人の妄想と希望です
つみたてNISAフェスティバル2017で挙がった要望は簡潔にまとめるとこのような要望だったようです。
⑤スイッチング(リバランス)する時に非課税枠を消費せずにできるようにしてくれ
④対象商品を見直してくれ
③一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAを一本化してくれ
②投資上限額を拡大してくれ
①恒久化してくれ
国民の滞留している現預金をリスク資産へ。つみたてNISAはそれを目的に「今まで投資したことのない層」を投資へいざなうための制度である…と考えると、
⑤スイッチングできるようにしてくれ
→金融庁の方からは「回転売買の材料となる懸念があるため慎重に」、ということだったようです。
初心者を脅かす可能性は可能な限り排除されるべきで、これは恐らく実現は難しい、のでは。
④対象商品を見直してくれ
→これも対象商品が増えて選択肢が自由になり過ぎると「どれを買ったらいいの?」と思う初心者を遠ざける要因になり、
アクティブファンドの選考枠を広げてくれという要望はなおさらそれを助長してしまう。
自分でアクティブファンドを選考して運用できるレベルの人は恐らく最初からつみたてNISAのターゲット層ではなく、これも実現は難しいのでは。
制度趣旨からすると「少人数のコアな投資家10人に満額40万投資してもらう」よりも「初めての投資家100人に最低額の年間6万で投資を始めてもらう」方が目的にかなっているのですから。
③NISA制度を一本化してくれ
→これは確か現状このままという回答でしたか。
②投資上限額を拡大してくれ
→個人的には(自分が上限金額まで使うかどうかは別として自由度という意味で)要望しますが、これも多分実現は難しい気はする。
「海水浴場の柵の設置場所がもっと深い場所まで移動する」ってことですからね。
遠くまで遊泳できるということは、それだけ足のつかない・溺れる危険が高くなる。
初めて泳ぐ方なら、多分年間40万でもう十分精いっぱいだと思うんですよ。
私だったら上限年間100万とかに拡大されても、もう足がつかない場所です。
もともとつみたてNISAなんぞなくとも自分で勝手にリスク許容度設定して、何も言わんでも年間40万以上運用するような個人投資家はもう既にお呼びでないと思うんですよ。
だってもう彼らはお題目の「貯蓄から投資へ」が実践できているんですから。
40万以上の枠をくれと要望を出す人達は比較的高収入・高貯蓄層の人が多いわけで、そんな十分に恵まれている人達がお上に「非課税恩恵をもっとちょーだい」とわいのわいの要望しても「ちがう、優遇したいのはおまいらじゃない…」と思われてると思うんですよね。
いや、想像ですけど。
①恒久化してくれ
これって金融庁の方々も「そうしたいけど実際に実現するのは大変なのよ…」という反応だったみたいですがどうなんでしょう。
財務省との兼ね合いがあるのでしょうか。
私もこれだけは例え叶わぬと言われても熱烈に要望し続けますし、つみたてNISAが投資初心者にもそうでない人にも定着するには必須要件だと思っています。
有期であることで「終わり方」についての認識が複雑化するんですよね。
何か新しいものを導入する時には初心者が理解しやすく、常に初心者が入りやすい雰囲気のものでなければ浸透しない。
「わかる人だけが使える」「わかる人だけが得をする」制度では結局今までと変わらないのです。
つみたてNISAのターゲット層であろう「滞留している現預金をたっくさん保有している食わず嫌いの人達」にとって、20年経ったら安全柵が撤去されて、その時含み損だったら逆に損しますお~っというルールは躊躇の要因になる。
恐らくですが、この「終わり方」について、投資家によっても見識は様々に割れるのでは。
本当は各人が「必要な時に、必要な分だけ」売却すればいいだけの話なのに、期間があることで考えを巡らせなければいけない。
20年もあれば多くの人は泳ぎ方も覚えると思う。(途中で相場の波に嫌気がさして退場するかもしれないが)
加えて恐らく20年もあればプラスだろうという予測は立ちますが、懸念事項があるとわかると 私のような初心者は躊躇するのです。
もっとも、これは結構贅沢な悩みで、投資環境としては年々良い方向に変わってきているなあと思うのも事実。
無力な個人としてはこういった制度ができたことはとても歓迎します。
少なくとも私みたいに初めての遊泳で荒波に掻き入ってバタフライする人が減るってことですからね。
従来の非課税期間5年の一般NISAもまだ選択できますので、どちらをどう使おうか吟味しながら選んでいこうかなと思います。
つみたてNISAに関しては、私は「遊泳禁止区域がきっちり決められた国営の海水浴場」のような印象を持ちました。
設置期間は20年、外界から一切遮断されている真水のプールではなく、海が荒れている時にはしっかりとその波が届き、しかし足のつかない沖までは決してさらわれないよう頑強な柵が設置されたもの。
私たち日本人は義務教育において投資に関する教育を受けていません。
投資とは今まで、いや今もでしょうか、泳ぎ方は自分達で勉強することが前提で、そしてそれでも溺れるリスクを許容できる人だけが自己責任でやるものだった。
個人が投資をしようとする場合、ろくな知識もなしに、もしくは独学で勉強して相場の海に入らないといけなかったわけです。
しかも投資には正解がないとくれば、泳ぎ方のセオリーはそれなりにあるもののそれぞれが我流の泳ぎ方になる。
ちなみに私は最初荒波にバタフライで挑みました。足のつく場所でしたが。
泳ぎを助けるツールや泳ぎ方を指南する本は多数あるけれど、
「どういう泳ぎ方」をすれば良いかを様々な情報を見て考え、「どこまでが溺れない場所」であるのかは自分の目で見る。
(そしてそれが正しいのかはわからない。)
私の場合は どんな泳ぎ方があって、どんな海が存在し、それぞれの海の波の荒さはどれくらいなのかを爪先から入って少しずつ確かめながら、腹落ちするところで今のスタイル(インデックスファンドの積立)に落ち着いたという感じでした。
「ずっと全財産を(安全だとされている)陸の上に置いておくリスク」ってのも考えました。海にはもちろんリスクがあるけど、資産は陸と海で分散させておこうかなという感じ。
とはいえ周りにはリーマンショック等の突然の大波で資産を流されて諦めてしまった方も、
「ここは安全に泳げますよ~」と”親切な指導員”に誘導されるがまま海の中に入って帰らぬ人になった方もいるはずです。
さて、相場の海に泳ぎ出すことでリスクが伴います。
体感的には海に入ることで3つくらい戦いが始まる。
①マーケットとの戦い:相場の変動リスクに晒されるのを耐える
(波が来ることによって資産が増減する。プラスになればマイナスにもなることを理解する)
②人間との戦い:ノルマ商品・高マージン商品を回避する
(「販売会社オススメ」の高額なマージンのくっついたノルマ商品を売りつけられる・金融商品についてのリスクを理解せぬままメリットだけを信じてハンコをついてしまう・紹介料の高いだけの悪質な商品を悪徳なFPに勧められて買ってしまう 等を回避する)
③自分との戦い:リスクを取り過ぎない・感情に振り回されない
(知らずに資金を投入しすぎてしまい、損失を被った時に自分の許容度を超えていることに気づいて青くなる・感情に左右され、売ってはいけないところで売る、買ってはいけないところで買う 等を回避する)
普通に投資をする上では上記の脅威が潜んでいると思うわけですが(いやもっとあるのかもしれませんが)、この「つみたてNISA」では②③は可能な限り金融庁の手入れによって排除されているように感じます。
普通の口座と変わらず存在する脅威は 金融商品の値動きに付随するリスク、すなわち①のマーケットのリスクが主。
②については販売される金融商品は徹底的にスクリーニングされ、販売会社が儲かるだけの悪質な金融商品は排除されている。
まあ多少の荒はあるのかもしれませんが、それでも無害な顔をして「これを買えば儲かりますよ」と言って手数料モリモリのノルマ商品を執拗に勧め、海に入ったところで獲物を喰らい尽くすシャチはいないわけです。
③のリスクもあるにはありますが、むしろ初心者の方が少額で体験できるようにちょうど良い投資額上限が設定されているような印象です。
投資金額は年間6万~40万円の範囲。そして「非課税投資枠上限(40万)までの範囲内で”一定額ずつ”買い付けるルール」がつみたてNISAには定められています。つまり初心者が失敗しがちなナンピン買いでドボン(下がったら買いつけることを繰り返すうち、いつの間にか取り返しのつかない額を投資に回していて多額の含み損になって退場)がない。
そして上限枠の40万を使い切る必要はなく、月5千円程度の設定額にして年間6万程度の投資額にしてもよいのですから、
”投資の怖~い話”でよく恐れられる
「株に全財産つぎ込んで溶かしちまったぜッハッハァ!子供には株だけはやるなと遺言書いたぞさらばッ!」みたいなリスク取り過ぎエピソードや、
「おばあちゃんが窓口で親切に勧められて、大事に貯めていた100万を出して買ってしまって、いつのまにかなくなって…およよおよよ」というエピソードを量産することは絶対にないということです。
まあ全財産40万の人がつみたてNISA口座に全部入れたら全財産つぎ込んだことになるとは思うのですが…NISA口座で全額リスク資産にしても、つみたてNISA内で採用される金融商品には「価値がまったくのゼロ」になる商品はない。
(…が全財産は投資に費やしてはいけないとは思う)
すなわち、つみたてNISAとは慣れた投資家にとっては物足りない場所でも、初めての方にとっては願ってもない「足のつく場所で泳げる」場所。
波が押し寄せてきた時の感覚、波に乗る時の感覚を覚える。
まさしくつみたてNISAは、はじめての泳ぎ方を学ぶには最適な場所なのです。
◆つみたてNISAが語る金融庁の思惑
今までしなかった投資家イベントを主催する、個人投資家からの制度に対しての要望を募集する、つみたてNISAで採用される金融商品から悪質な商品がほぼ除外されている…というあたりから、金融庁の方々は個人投資家との距離を縮めてくれたように思います。
ここに至ったのも理由ありきで、基本的に「完全なる善意」で新たに制度が設立されるということはないと思ってはいます。
金融庁の公開したつみフェス2017の資料データによれば、我が国の家計に存在する現預金は938兆円。
<参考>金融庁HP:つみたてNISA関係
これをキャッシュとして滞留させるのは好ましい状況ではなく、いくらか投資に流したい。
ですがそれは「国民に”自主的に”投資をしてもらう」ことでしかかなわないわけです。
だから「貯蓄から投資へ」を掲げて、今まで海に入ったことのない人達を水に慣れさせようというお膳立てしてくれている。
イベントの開催や個人投資家との交流は国民の投資教育と一般への認知が足りないことに対する策というところでしょうか。
◆個人投資家の税制改正要望ベスト5はかなうのか
※全部私個人の妄想と希望です
つみたてNISAフェスティバル2017で挙がった要望は簡潔にまとめるとこのような要望だったようです。
⑤スイッチング(リバランス)する時に非課税枠を消費せずにできるようにしてくれ
④対象商品を見直してくれ
③一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAを一本化してくれ
②投資上限額を拡大してくれ
①恒久化してくれ
国民の滞留している現預金をリスク資産へ。つみたてNISAはそれを目的に「今まで投資したことのない層」を投資へいざなうための制度である…と考えると、
⑤スイッチングできるようにしてくれ
→金融庁の方からは「回転売買の材料となる懸念があるため慎重に」、ということだったようです。
初心者を脅かす可能性は可能な限り排除されるべきで、これは恐らく実現は難しい、のでは。
④対象商品を見直してくれ
→これも対象商品が増えて選択肢が自由になり過ぎると「どれを買ったらいいの?」と思う初心者を遠ざける要因になり、
アクティブファンドの選考枠を広げてくれという要望はなおさらそれを助長してしまう。
自分でアクティブファンドを選考して運用できるレベルの人は恐らく最初からつみたてNISAのターゲット層ではなく、これも実現は難しいのでは。
制度趣旨からすると「少人数のコアな投資家10人に満額40万投資してもらう」よりも「初めての投資家100人に最低額の年間6万で投資を始めてもらう」方が目的にかなっているのですから。
③NISA制度を一本化してくれ
→これは確か現状このままという回答でしたか。
②投資上限額を拡大してくれ
→個人的には(自分が上限金額まで使うかどうかは別として自由度という意味で)要望しますが、これも多分実現は難しい気はする。
「海水浴場の柵の設置場所がもっと深い場所まで移動する」ってことですからね。
遠くまで遊泳できるということは、それだけ足のつかない・溺れる危険が高くなる。
初めて泳ぐ方なら、多分年間40万でもう十分精いっぱいだと思うんですよ。
私だったら上限年間100万とかに拡大されても、もう足がつかない場所です。
もともとつみたてNISAなんぞなくとも自分で勝手にリスク許容度設定して、何も言わんでも年間40万以上運用するような個人投資家はもう既にお呼びでないと思うんですよ。
だってもう彼らはお題目の「貯蓄から投資へ」が実践できているんですから。
40万以上の枠をくれと要望を出す人達は比較的高収入・高貯蓄層の人が多いわけで、そんな十分に恵まれている人達がお上に「非課税恩恵をもっとちょーだい」とわいのわいの要望しても「ちがう、優遇したいのはおまいらじゃない…」と思われてると思うんですよね。
いや、想像ですけど。
①恒久化してくれ
これって金融庁の方々も「そうしたいけど実際に実現するのは大変なのよ…」という反応だったみたいですがどうなんでしょう。
財務省との兼ね合いがあるのでしょうか。
私もこれだけは例え叶わぬと言われても熱烈に要望し続けますし、つみたてNISAが投資初心者にもそうでない人にも定着するには必須要件だと思っています。
有期であることで「終わり方」についての認識が複雑化するんですよね。
何か新しいものを導入する時には初心者が理解しやすく、常に初心者が入りやすい雰囲気のものでなければ浸透しない。
「わかる人だけが使える」「わかる人だけが得をする」制度では結局今までと変わらないのです。
つみたてNISAのターゲット層であろう「滞留している現預金をたっくさん保有している食わず嫌いの人達」にとって、20年経ったら安全柵が撤去されて、その時含み損だったら逆に損しますお~っというルールは躊躇の要因になる。
恐らくですが、この「終わり方」について、投資家によっても見識は様々に割れるのでは。
本当は各人が「必要な時に、必要な分だけ」売却すればいいだけの話なのに、期間があることで考えを巡らせなければいけない。
20年もあれば多くの人は泳ぎ方も覚えると思う。(途中で相場の波に嫌気がさして退場するかもしれないが)
加えて恐らく20年もあればプラスだろうという予測は立ちますが、懸念事項があるとわかると 私のような初心者は躊躇するのです。
もっとも、これは結構贅沢な悩みで、投資環境としては年々良い方向に変わってきているなあと思うのも事実。
無力な個人としてはこういった制度ができたことはとても歓迎します。
少なくとも私みたいに初めての遊泳で荒波に掻き入ってバタフライする人が減るってことですからね。
従来の非課税期間5年の一般NISAもまだ選択できますので、どちらをどう使おうか吟味しながら選んでいこうかなと思います。
