一人暮らしの不思議体験2

前回の記事一人暮らしの不思議体験の続きです。ちなみに長文注意のもよう。

夢を見ました。



学校から帰宅してリビングに入ると、ありえない光景が広がっていました。

「「「おかえりー!」」」

そう言って出迎えてくれたのは、大学のサークルのメンバー達でした。
よく見知った顔です。
8名ほど。

彼女達がなぜか私の部屋にいる。

私の8畳の部屋に8人というのはやや狭く、部屋の真ん中に鎮座した正方形のテーブルだけでは場所が足りなかったようで、折り畳み式のミニテーブルを引っ張り出してつなげ、見事に長方形の食卓を完成させていました。
テーブルの上にはお菓子やジュース、ケーキやピザなどが置いてありました。

「???」

事態を把握しかねていると、友達の一人が手招きをして私を呼びました。
なるほど最も入口から近い下座に一人分のスペースがあいており、ここが私の席なのだろうと思いました。

人の部屋に上がり込むにしろ一報入れる常識を持つ友人達なので、違和感を覚えました。
そして、鍵は誰にも渡していないので、どうやって入ってきたのかも。

しかし皆楽しそうに談笑しているのです。いきなり窘めて場の楽しい雰囲気に水を差すのも無粋というものでしょう。

しょうがない後で注意しようと思い、私は自分用に用意されていた席に座りました。

輪の中に入って談笑に加わると、賑やかな―――そのさまを”かしましい”と表現する人もいるかもしれないが―――雰囲気に私は取り込まれていきました。

楽しい雰囲気、おどけた会話、笑い声。全て聞き慣れたものです。

ただ、席に座ると、”いつもの光景”とは異なる点に気づきました。
テーブルの上にはケーキがあって、どうやらそれは誰かをお祝いするものであるらしいのです。

初めて、見知ったメンバーの中に一人だけ、「知らない人」がいることに気づきました。
用意されたケーキや小物から見るにこの宴は、彼を祝うために開かれたもののようでした。
その人は私から最も遠い位置、すなわち入口から一番遠い上座…”お誕生日席”にいたのです。
友達のお喋りに隠れて、しばらくその存在に気づきませんでした。

私を含みその場は全員女子大生であったのですが、その人は男性。
白いシャツを着て、ぽっちゃり体型、顔はバラエティーやクイズ番組でよく見る某芸人さんに似ていました。

「彼は誰なのか」という疑問を差し挟む余地もなく、友人らは彼がいて当たり前であるかのように、いつものように喋り続けます。
奇妙なことに、これは恐らく彼を祝う宴のはずであるのに、誰も彼の話には触れませんし、私に彼のことを紹介しようともしません。

まるで最初から、彼はサークルのメンバーであったかのような扱い。

しかし彼はかしましい会話に一切加わらず、言葉を発したり、笑ったりしないのです。
ただひたすらに静謐に、そこに”居る”だけ。

不思議に思いつつもしばらくお喋りに興じていたのですが、私は更にあることに気づきました。

どうにも皆の会話の流れが予測できるのです。
誰々が喋ったら誰々がこう返す、誰々がおどけたら誰々がツッコむ、といったように。
まるで一度観たバラエティー番組の再生を観ているような錯覚を覚えました。

それに、変なのです。
私が会話に加わると、なんとなく会話が噛み合わなくなるのです。
無視ではなく、しかし噛み合わない。

まるで最初からそのように喋るようにプログラムされていて、データベースにない反応をすると対応できないロボットのように。
私の発言は、その場の笑い声にかき消され、空気に溶けて消えるのです。

これは”夢”だからでしょうか?
いいえ、他の人の夢はわかりませんが、私の夢では予期しないことが起こるのが常です。
覚えている夢で過去の記憶をただ再生するだけのものは、恐らくはこれを除いて、これまでありません。
(あるかもしれないが起きる頃には忘れている)

そのことにうすうす気づいてくると、確信に近い疑惑が湧いてきました。
まるでハリボテで作られた舞台に勝手に参加させられているような違和感が、居心地が悪くて仕方がないのです。

気づくと、心で感じた違和感が声に出ていました。






「おまえたちは、  だれだ」











全員同時にぐるりとこちらを振り向きました。

その顔は皆一様に、能面のように表情がなくなっていました。

笑わない。怒ってもない。ただ真顔。まばたきさえしない。
これまで私のことなど意に介さず喋り続けていた女の子達がふっと会話をやめるさまはまるでスイッチを切られたラジオのごとく。場は水を打ったようにしん、と静まり返りました。

耳の痛くなるような静寂の中から、友人の顔で型を取った能面が、8対の目でじっとこちらを見つめているのです。

ところがこの時、私は恐ろしいと感じたのではなく、猛烈に怒りがわいてきました。
なぜなら、わざわざ輪に加わったのは彼女らが友人だと思ったからなのです。望んでもいない宴を、よりによって私の部屋でやる必要も、ましてや私が参加させられる理由もない。
それは、友人でもなく、さらには彼女「ら」でもない。
これはまさしく茶番なのです。

私は立ち上がり、普段の私なら考えられない怒号を浴びせました。

「お前は誰だ!勝手に人の家に上がるな!出ていけ!」

この時、私はこの状況を”夢”だと気づいていました
夢の中なのだから、気を遣う必要も、恐れる必要もないのです。
怒りを感じたのなら、怒ればいい。

しかし腹を立てて怒鳴っても、8対の目は瞬きもせず、揺るぎもなく、何の反応もない。
ただただうつろに、じっと私を見つめるのです。
しかし人の皮の下、無言の中に立ち込める密かな怒りの気配を感じ取って、私は後ずさりました。

私はどこかで余裕を持っていたのです。
なぜなら、私の立っている位置は、下座…部屋の出口に一番近い場所だったから。
対して、「それら」は狭い部屋に正座したまま、動きもしません。
いざとなったらすぐ逃げられる、そういう余裕があったのです。

そうだ、これを追い出す必要はないじゃないか。
私がここから出ていけばいいのだ。
外の世界に。

そう思い、逃げ出そうとしてさらに後ずさりしたその時。

突然背後から強い力で肩を掴まれたのです。

いつの間にか回り込まれたのか。
しかし部屋の中は、8体の人形と凍てついた空気を残したまま変わらず。






じゃあ、





背後にいるのは誰だ?






それに、夢とは思えないほど肩を掴む力は力強く。
ぎりぎりと締め上げるような、有無を言わさぬ意志を感じるものでした。

これは夢だ。間違いない。

ではこの肩を掴む感触、本当に、これは夢なのか?

いや、違う。
これは、これだけは夢を見ている現実の私の肩を、本当に誰かが掴んでいるのだ





反射的に振り向くと、そこには







そこには、薄暗い闇と、天井が見えました。










夢。ゆめ。ユメ。





自分は出口付近にいたはずなのに、振り返ると天井を向いている…ということに混乱したものの、ああ、自分はベッドに寝ていて、夢から覚めたのだ、という現実の認識にはそう時間はかかりませんでした。
しかし「夢から覚めた」という安心感はありませんでした。


なぜなら夢の中では私は部屋から脱出できず、今は夢の続きなのです。
何よりもまだ、最後に背後から掴まれた肩の感触が残っていたからです。
夢から覚めたのではなく、部屋の中に無理やり連れ戻されたような錯覚を覚えました。

横を振り向けばまだ、暗がりの中で友人の姿をした何かと謎の青年が、あのうつろな表情でこちらを見つめているのではないか―――そう思わせるのに十分なほど、残った肩の感触はリアルだったのです。

暗く冷たい空間の中にコチコチと無情に響く時計の針の動く音だけが、唯一の現実とのつながりのように思えました。

なんということだ、最悪のタイミングで目覚めてしまった。
…いや、もしかしたら後ろにいたモノの姿を見なかったのは、幸運だったのかもしれないが。

うっかり横を見てさっきの光景が続いていたら嫌なので、即寝直すことに決め、私は朝を迎えました。






私の部屋。見知った面々。聞き慣れた会話。
お気づきでしょうか、私の記憶、私の日常で構成されたあの夢の中で唯一、顔も見たことのない”彼”だけが特異点だったのです。

このメッセージ性の強い夢を見て以降、その存在の正否や真偽はともかく、「見えざる同居人」は”彼”…女子大生にチヤホヤされたいオッサンに違いないということで私の中で決定してしまったのですが、あの某芸人似のオッサンがこれまでトイレや風呂のドアを勝手に開けていたのかと思うと、恐怖より無性に腹が立ってきました



そんなわけで変な現象に遭遇した時の対応を「気にしない」か「叱りつける」ということにしました。
なぜなら試験日が近かったからです。塩をまいたりお祓いに行ってる時間なんてなかったのです。優先順位を間違えてはいけません。
お祓いなぞ試験が終わってから行けばいいやと思っていました。

現象の原因が家の傾きだろうが怪異だろうが体調不良だろうがオッサンだろうが、単位の取得の方が人生においての優先順位は上なのです。

音は無視、
シャワーを浴びている最中に背後で風呂の戸がスーッと開きよった際には「何しとんじゃワレェェェ!」と何もない空間に向かってブチ切れるようになったのです。

まあ貞子状態(髪洗ってる最中)で突然叫び出すという傍目に見て完全に怪しい奇行を行ったものの、これが功を奏したのか、オチとしてはある日を境に、一連の現象はぱたりと途絶えてしまいました。

ある日学校から帰宅して手を洗おうと洗面所に入ると、部屋が驚くほど明るくなっていました。
なんというか、充満していた重苦しい空気が消え、まったく息苦しさを感じなかったのです。
「こんなに明るかったっけ?」と首を傾げたものの、まあ歓迎すべき事態です。
直感で根拠はありませんでしたが、「いなくなったな」と思いました。

直感通り、気になっていた他の現象も同時になくなりました。

昼夜うるさかったノックのようなコツコツ音も、
勝手にモノが落ちることも、
洗面所に入ると具合が悪くなったり右足が痛み出すことも、
ドアが開閉することも、
変な夢を見ることも、
ぱたりとやみました。


それが「何のせい」であったのかは定かではありません。
家鳴りと体の不調とリアル悪夢とおっちょこちょいと勘違いが同時期に重なっただけかもしれません。

ただどのような理由であれ、一人暮らしで不思議な体験をしたり、悪夢を見た際には塩を盛るとかお祓いに行くとかより先に、


気にしない


がいずれの理由においても最強なのではないかと思ったのでした。

※「気にしない」とは言っても家屋倒壊や病気の予兆などの可能性もあるので、まずは実効的な要因を疑った上で原因が特定できない場合気にしない、という意味でお願いします。

ちなみにこの現象がおさまった少し後に試験を迎えましたが、95点という高得点で無事通過しましたとさ。



なおこの文章を書いていた昨晩にも「ピシッ」と得体の知れない音が鳴りましたが、気にしないことにします。

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No title

南無、南無。
悪霊退散!w

「ビシッ」という音はラップ音とか言われますが、
建材は温度・湿度の変化によってわずかに収縮・伸張するため、
建材によるそれらの違いが歪みとなって一定程度溜まると、
その歪みを解消する方向に力が働き
建材と建材の摩擦によって音が鳴ります(テキトウ)。

おおぅふ

私の可愛い緑のアイツとは比べものにならない、ガチな怖さ><
でも、容姿的にThis Manではなさそうなので、ITTIN嬢はアメリカ軍の実験対象ではない模様。

婚活においても、JDが来た時の男性のテンションは面白いです。
JD・・・ザワザワ・・・なのです笑

一緒になって「JD!ひゃっほーい!若い!可愛いぃ♥」
となっている私はダメ人間なのです。

大阪人には・・・

>>シャワーを浴びている最中に背後で風呂の戸がスーッと開きよった際には「何しとんじゃワレェェェ!」と何もない空間に向かってブチ切れるようになったのです。
JDのシャワー覗こうとするとはやっぱり男なんですね~
というよりもITTINさんの口からそんな言葉が出てくるとは・・・大阪人には吉本新喜劇の未知やすえさんとデジャビュってしまいます笑

Re: No title

> 塩蔵さん

おはようございます!

> 南無、南無。
> 悪霊退散!w

破ァ―――!!

> 「ビシッ」という音はラップ音とか言われますが、
> 建材は温度・湿度の変化によってわずかに収縮・伸張するため、
> 建材によるそれらの違いが歪みとなって一定程度溜まると、
> その歪みを解消する方向に力が働き
> 建材と建材の摩擦によって音が鳴ります(テキトウ)。

なんと!テキトウとは思えないほど詳しい説明だっ…!
音を説明するには十分な根拠である(笑)

コメントありがとうございます!

Re: おおぅふ

> m_o_s_sさん

おはようございます!

> 私の可愛い緑のアイツとは比べものにならない、ガチな怖さ><
> でも、容姿的にThis Manではなさそうなので、ITTIN嬢はアメリカ軍の実験対象ではない模様。

良かった、実験対象でなくて…。(ホッ)

> 婚活においても、JDが来た時の男性のテンションは面白いです。
> JD・・・ザワザワ・・・なのです笑

想像してワラタw確かに婚活の現場に20代前半のJDがいるなんて都市伝説や…!

> 一緒になって「JD!ひゃっほーい!若い!可愛いぃ♥」
> となっている私はダメ人間なのです。

良いww
m_o_s_sさんが申し込んだらJDとカップル成立するかもしれんで!?
きっとその場の男性達も「くそっ貴重な若い女の子が二人も取られてしまった!しかし良い!」と歯噛みしながら送り出してくれるでしょう…w

コメントありがとうございます!

Re: 大阪人には・・・

> くは72さん

おはようございます!

> JDのシャワー覗こうとするとはやっぱり男なんですね~
> というよりもITTINさんの口からそんな言葉が出てくるとは・・・大阪人には吉本新喜劇の未知やすえさんとデジャビュってしまいます笑

「覗くにしてももっと可愛いJDがいただろうに」とは思いましたが…。
夢の内容から「優しくしていたのではいつまでも居つく」、と思ったのでだいぶヒャッハーな対応をしました(笑)これで霊も誰もいなかったらただ奇声を発するだけの変な人ですね…。

コメントありがとうございます!

ヒャー

なんと豪気な!頼もしすぎる!
しっかし、これで「貴女について行きたい~」MEN'S にワンサと言い寄られても困る…ので、たまにはか弱い女子演出を!?
経験では、足首とか手首とか細い部分に包帯巻いた女子は見た目か弱さ1000%upよ!
これが象の足首のオバサンだと、あ~あ、デブは足に負荷かかるんだなあなどと 同情もしてもらえない(推定)ので、今のうちよ。
フェイクでいいのよ。まぁ面倒くさいですね…。

そういえば、テレビのそういう企画で、あっちいけーとかええい!とか気合いで飛ばして?ました。正しいんですね…。

Re: ヒャー

>アシュレイさん

こんばんは!

> なんと豪気な!頼もしすぎる!
> しっかし、これで「貴女について行きたい~」MEN'S にワンサと言い寄られても困る…ので、たまにはか弱い女子演出を!?
> 経験では、足首とか手首とか細い部分に包帯巻いた女子は見た目か弱さ1000%upよ!

なるほど、勉強になります。
一撃で敵を粉砕できるほどに逞しく、かつ折れそうなほどにか弱きおなごを目指しませう!
手首に包帯巻いてたら確かにいろいろな意味で心配されそうだ(笑)

> これが象の足首のオバサンだと、あ~あ、デブは足に負荷かかるんだなあなどと 同情もしてもらえない(推定)ので、今のうちよ。
> フェイクでいいのよ。まぁ面倒くさいですね…。

これ以上横に広がらないよう、BMIに気を配らねば…w

> そういえば、テレビのそういう企画で、あっちいけーとかええい!とか気合いで飛ばして?ました。正しいんですね…。

テレビのは番組を盛り上げるための演出では…(笑)しかし意外と正解なのかもしれませんね!

コメントありがとうございます!
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プロフィール

ITTIN

Author:ITTIN
会社員地味子。2016年12月にひっそりと結婚。
独身時資産は2500万くらいあるよ。
資産公開・内訳
<推移>( )内は前年比
2009年23歳 238万(+202万)
2010年24歳 498万(+260万)
2011年25歳 720万(+222万)
2012年26歳1032万(+312万)
2013年27歳1369万(+337万)
2014年28歳1738万(+369万)
2015年10月2000万円達成

2016年2月、本を出したよ。
素敵なレビューを書いていただき感謝!
書評一覧

29歳で2000万円貯めた独身女子がお金について語ってみた




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