分配型投信の分配金を保険料に使うという手法の非合理性
「分配型投信の分配金で貯蓄性の高いドル建て生命保険の保険料をまかない、ほったらかしで老後資金を作っちゃおう!」という手法についてどう思うか、当ブログにもたまに質問をいただきますのでちらっとメモ書き。
検索ワードでも多いしね…
個人的な感想としては非合理的だと思います。
追記にそう思う理由を記しますが、批判的な結論を導いているので理由にも肯定的な表現が使えませんでした。
というわけでこの手法を推奨・実践されている方がご覧になる際は、不愉快な気分になるかと思いますので閲覧にはご注意ください。
なお、大体このテの手法を批判する記事を見ると「分配型投信もありえないがそもそもドル建て保険もありえない」と保険もとばっちり食らって一緒にこき下ろされるパターンも多いですが、私は個人の判断でドル建て保険に加入しております。
少し脱線しますが、万が一当ブログをご覧になってドル建て保険に興味を持ったり、加入を検討している方がいらっしゃいましたら、ネットに転がっている
「・終身保険や養老保険はマージン取られまくりの保険会社の養分。つまり金の無駄
・運用はインデックス投資にして保険が必要なら必要最低限で掛捨で入るのが一番賢い
・保険で為替リスクあるとか意味不明、本人は通貨分散とか喜んでて気の毒
・独身で生命保険に入る奴は保険会社に洗脳されたアホ
・数十年後その会社あんの?」
くらいのご意見は一通り目を通して自分なりにデメリットを理解・消化した上で判断されると良いと思います。
簡単にまとめてしまいましたが、ごもっともな根拠や詳しい解説つきでいろいろ詳しい方の意見が転がっています。
このような意見を見て不安になったり考え方がブレるくらいなら、加入後も似たような意見を見て右往左往することが考えられるので入らない方が良いでしょう。
保険に限らず、真に不幸なのは「何か良さそうだから」「まわりがそうだから」と”よくわからずに買ってしまうこと”だと思います。
人に言わなくてもいいが、少なくとも上記意見に対する自分なりの考えは持っておくべき。
脱線、終わり。
それはさておき理由でしたね。
検索ワードでも多いしね…
個人的な感想としては非合理的だと思います。
追記にそう思う理由を記しますが、批判的な結論を導いているので理由にも肯定的な表現が使えませんでした。
というわけでこの手法を推奨・実践されている方がご覧になる際は、不愉快な気分になるかと思いますので閲覧にはご注意ください。
なお、大体このテの手法を批判する記事を見ると「分配型投信もありえないがそもそもドル建て保険もありえない」と保険もとばっちり食らって一緒にこき下ろされるパターンも多いですが、私は個人の判断でドル建て保険に加入しております。
少し脱線しますが、万が一当ブログをご覧になってドル建て保険に興味を持ったり、加入を検討している方がいらっしゃいましたら、ネットに転がっている
「・終身保険や養老保険はマージン取られまくりの保険会社の養分。つまり金の無駄
・運用はインデックス投資にして保険が必要なら必要最低限で掛捨で入るのが一番賢い
・保険で為替リスクあるとか意味不明、本人は通貨分散とか喜んでて気の毒
・独身で生命保険に入る奴は保険会社に洗脳されたアホ
・数十年後その会社あんの?」
くらいのご意見は一通り目を通して自分なりにデメリットを理解・消化した上で判断されると良いと思います。
簡単にまとめてしまいましたが、ごもっともな根拠や詳しい解説つきでいろいろ詳しい方の意見が転がっています。
このような意見を見て不安になったり考え方がブレるくらいなら、加入後も似たような意見を見て右往左往することが考えられるので入らない方が良いでしょう。
保険に限らず、真に不幸なのは「何か良さそうだから」「まわりがそうだから」と”よくわからずに買ってしまうこと”だと思います。
人に言わなくてもいいが、少なくとも上記意見に対する自分なりの考えは持っておくべき。
脱線、終わり。
それはさておき理由でしたね。
【受け取った分配金で新たな金融商品に二次投資することがまず非効率的だと思ふ】
そもそも「ほったらかしで老後資金を」というコンセプトに基づいた運用に、数ある金融商品の中からわざわざ分配型投信を選ぶということ自体、分配型投信の特性にそぐわないと思います。
分配型投信の分配金は投信の純資産から取り崩され、分配金を出したファンドの基準価額(=投信の値段)は100%下がります。
評価額=保有口数×基準価額ですので、基準価額の下落は保有投信の価値の下落と同義です。
ファンドが利益を出していない時は単なる元金の払い戻し、利益が出ていた時は受け取った分配金に対して課税されます。
分配金が多いファンド=優秀なファンドではなく、分配金は必ずしも利益とは限りません。
私は分配型投信は「本体価値の変動するATM」と捉えています。
分配金の多いファンドはそれだけ投資効率が低くなり、長期になればなるほど不利になるということです。
また、運用益が非課税になるNISA口座で買い付けたとしても再投資もしくは新規で買い付けた分は年間100万円分しかないNISA枠が新たに消費されるため、税制的には不利です。
この点だけ見ても「受け取った分配金で新たな金融商品に長期的に二次投資する」ということは運用効率上、そして税制上でも非効率的です。
ネットを徘徊していると「保険料をまかなえる分配金を出す分配型投信を選べば良い」と思っている人も見ますが、これは分配金が純資産からの取り崩しだということを理解していないということ。もし分配金を純粋な利益だと思っている人がいたら気をつけるんだぜ。
【ドル建て保険の保険料と分配型投信の分配金には相関性が無い】
そもそも「なぜ保険料と分配金を関連付けるのか?」というところです。
これを「手法」とするならば、
ドル建て保険の保険料の捻出を預貯金ではなくわざわざ分配金由来の資金にすることに実利的なメリットがあるか、
もしくは分配金の使い道をドル建て保険の保険料に限定することに何かしらのメリットがあるはずなのですが。
あくまで保険と投信はそれぞれ独立した別個の金融商品であり、
「分配金を保険料に使うとコストが安くなったりリターンが増えるのでお得だ」などの恩恵が受けられる仕組みは一切ありません。
また、保険料と分配金は連動しません。
ドル建て保険の保険料はドルベースのため、支払う保険料は円高では安くなり、円安では高くなるという単純な構図です。
一方、一般的に多くがアクティブファンドを占める分配型投信では、円高円安が投信の基準価額(=投信の値段)に影響することはあるにせよ、分配金の額が一概に円安・円高に連動するとは限りません。
分配金がドルで受け取れて保険料に充当できるということなら、保険料の支払い時にかかる為替手数料を節約できるというメリットもどうにか絞り出せますが、そういうシステムもサービスも聞かない。
高分配金のファンドは国外の資産に投資するものでしょうから、為替手数料の織り込まれた高コストな投信から円に戻して分配金を受け取り、その後またわざわざ為替手数料払ってドルに替えるってことですね。
もったいない。非常にもったいない。
私が知らないだけで関連付けを行うメリットが何かあるのかもしれませんが、何もないのであれば
「分配型投信の分配金の使い道をドル建て生命保険の保険料に限定しているだけ」という複雑に見えてシンプルな構造です。
この手法を推奨する記事の全てに目を通したわけではないのですが、この運用を行う人が得ているのは
「分配型投信に投資することで保険が丸々一つ手に入るというお得感」のように思います。
もっとも、実際には分配型投信のリスクもドル建て保険のリスクもキッチリ余すことなく負っていますので、万が一この手法が推奨される理由がこれだとしたら、この安心感やお得感は錯覚であり、それぞれ別個に投資した場合と変わりません。
…と私は思っているのですが、ただ私が無知なだけで有利になるサービスがあったりして…?
リスクやリターンやコストが有利になるなど、関連付けするメリットを実利的な面でご存知の方がいらっしゃいましたら文章を訂正しますので教えてください。
【長期運用に向かない分配型投信の分配金を長期運用する保険の保険料に充当し続ける方法って?】
ドル建ての保険には「利率が高い」という表立ったメリットの裏におおまかにこのようなデメリットがあります。
①資金が長期で拘束され、早期解約は損をする(早期解約リスク)
②保険料・保険金・満期金・解約返戻金が為替レートで変動する(為替リスク)
(エントリーに関連するデメリットだけ挙げましたが、これだけでは済みませんのであしからず)
保険は早期解約リスクというデメリットと、恩恵を最大限に受けるための運用を考慮すると、よほどの円安に傾かない限り信用リスクを抱えながらの数十年単位の長期運用を想定する必要があります。
インデックス投資も確定拠出年金もそうですが、③の為替リスク(=価値が変動するリスク)を含む商品に長期的に資金投入を決めた段階で、出口戦略を考えなくておかなくてはなりません。
ドル建て保険で言えば円安・円高に応じた保険料払込期間と、年金・満期金受取開始年齢前後の期間に円高だった時・円安だった時のシナリオを長期視点で考えておく必要があります。
対して、分配型投信は運用面でも税制面でも全く長期運用に向いた商品ではありません。
分配金で純資産が取り崩されるので無分配の投信に比べて複利の効果も受けられません。
多くが信託報酬の高いアクティブファンドですので、「持ちっぱなし(ほったらかし)」にしているだけで高い手数料を取られますし、持っていても数年で償還される可能性もあります。
「乗り換えていく」ということなら、解約時に出た利益に対してキッチリ税金を払いつつ、信託財産留保額(投信を解約する時にかかる手数料)や、新たに購入手数料(投信を買い付けた時の手数料)を支払う必要があります。
いずれにせよ手数料による資産の目減りは回避できません。
高額なコストを差し引いても利益を出し続ける投信を、保険料払込期間の数十年の間ずっと選び取り続けることなど普通の人ができるのでしょうか。
分配金の多さは成績とは無関係ですから、少なくとも素人には無理ではないかと思うのです。
よほどアクティブファンドの選定眼が優れていないと…
長期運用に向かない商品で長期型商品をどうやって運用していくのか、数十年後どころか3年後のビジョンすら私の貧困な経験と知識と想像力では見い出せません。
【お詫び】
私が無知なためか良い所が見つけられず随分と「~ない」を連呼するネガティブな文章になってしまいましたが、考え方は人それぞれですのでこの運用方法を採用している人を否定するつもりはありません。
ともあれ視野は広く持ちたいところ。
実は私の気づいていない素晴らしいメリットがあるのかもしれません。
「いやいやそうじゃなくてこういう運用意図で行っているんだよ」「いやいや実はこれにはこういうメリットがあってだな…」「いやそもそも保険は数十年解約しないという前提が違うのだよ。決めつけないでくれたまえ」ということがございましたらご存知の方は教えてください先輩。
運用なんて個人で好きなものを好きなように買えば良いことですが、妙な「お得感」だけで仕組みやコストもわからずに買ってしまうことは避けたいものですね。
このエントリーについて考えるうちに保険にかかる税金についてもうちょっと調べたくなってきたよ…

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そもそも「ほったらかしで老後資金を」というコンセプトに基づいた運用に、数ある金融商品の中からわざわざ分配型投信を選ぶということ自体、分配型投信の特性にそぐわないと思います。
分配型投信の分配金は投信の純資産から取り崩され、分配金を出したファンドの基準価額(=投信の値段)は100%下がります。
評価額=保有口数×基準価額ですので、基準価額の下落は保有投信の価値の下落と同義です。
ファンドが利益を出していない時は単なる元金の払い戻し、利益が出ていた時は受け取った分配金に対して課税されます。
分配金が多いファンド=優秀なファンドではなく、分配金は必ずしも利益とは限りません。
私は分配型投信は「本体価値の変動するATM」と捉えています。
分配金の多いファンドはそれだけ投資効率が低くなり、長期になればなるほど不利になるということです。
また、運用益が非課税になるNISA口座で買い付けたとしても再投資もしくは新規で買い付けた分は年間100万円分しかないNISA枠が新たに消費されるため、税制的には不利です。
この点だけ見ても「受け取った分配金で新たな金融商品に長期的に二次投資する」ということは運用効率上、そして税制上でも非効率的です。
ネットを徘徊していると「保険料をまかなえる分配金を出す分配型投信を選べば良い」と思っている人も見ますが、これは分配金が純資産からの取り崩しだということを理解していないということ。もし分配金を純粋な利益だと思っている人がいたら気をつけるんだぜ。
【ドル建て保険の保険料と分配型投信の分配金には相関性が無い】
そもそも「なぜ保険料と分配金を関連付けるのか?」というところです。
これを「手法」とするならば、
ドル建て保険の保険料の捻出を預貯金ではなくわざわざ分配金由来の資金にすることに実利的なメリットがあるか、
もしくは分配金の使い道をドル建て保険の保険料に限定することに何かしらのメリットがあるはずなのですが。
あくまで保険と投信はそれぞれ独立した別個の金融商品であり、
「分配金を保険料に使うとコストが安くなったりリターンが増えるのでお得だ」などの恩恵が受けられる仕組みは一切ありません。
また、保険料と分配金は連動しません。
ドル建て保険の保険料はドルベースのため、支払う保険料は円高では安くなり、円安では高くなるという単純な構図です。
一方、一般的に多くがアクティブファンドを占める分配型投信では、円高円安が投信の基準価額(=投信の値段)に影響することはあるにせよ、分配金の額が一概に円安・円高に連動するとは限りません。
分配金がドルで受け取れて保険料に充当できるということなら、保険料の支払い時にかかる為替手数料を節約できるというメリットもどうにか絞り出せますが、そういうシステムもサービスも聞かない。
高分配金のファンドは国外の資産に投資するものでしょうから、為替手数料の織り込まれた高コストな投信から円に戻して分配金を受け取り、その後またわざわざ為替手数料払ってドルに替えるってことですね。
もったいない。非常にもったいない。
私が知らないだけで関連付けを行うメリットが何かあるのかもしれませんが、何もないのであれば
「分配型投信の分配金の使い道をドル建て生命保険の保険料に限定しているだけ」という複雑に見えてシンプルな構造です。
この手法を推奨する記事の全てに目を通したわけではないのですが、この運用を行う人が得ているのは
「分配型投信に投資することで保険が丸々一つ手に入るというお得感」のように思います。
もっとも、実際には分配型投信のリスクもドル建て保険のリスクもキッチリ余すことなく負っていますので、万が一この手法が推奨される理由がこれだとしたら、この安心感やお得感は錯覚であり、それぞれ別個に投資した場合と変わりません。
…と私は思っているのですが、ただ私が無知なだけで有利になるサービスがあったりして…?
リスクやリターンやコストが有利になるなど、関連付けするメリットを実利的な面でご存知の方がいらっしゃいましたら文章を訂正しますので教えてください。
【長期運用に向かない分配型投信の分配金を長期運用する保険の保険料に充当し続ける方法って?】
ドル建ての保険には「利率が高い」という表立ったメリットの裏におおまかにこのようなデメリットがあります。
①資金が長期で拘束され、早期解約は損をする(早期解約リスク)
②保険料・保険金・満期金・解約返戻金が為替レートで変動する(為替リスク)
(エントリーに関連するデメリットだけ挙げましたが、これだけでは済みませんのであしからず)
保険は早期解約リスクというデメリットと、恩恵を最大限に受けるための運用を考慮すると、よほどの円安に傾かない限り信用リスクを抱えながらの数十年単位の長期運用を想定する必要があります。
インデックス投資も確定拠出年金もそうですが、③の為替リスク(=価値が変動するリスク)を含む商品に長期的に資金投入を決めた段階で、出口戦略を考えなくておかなくてはなりません。
ドル建て保険で言えば円安・円高に応じた保険料払込期間と、年金・満期金受取開始年齢前後の期間に円高だった時・円安だった時のシナリオを長期視点で考えておく必要があります。
対して、分配型投信は運用面でも税制面でも全く長期運用に向いた商品ではありません。
分配金で純資産が取り崩されるので無分配の投信に比べて複利の効果も受けられません。
多くが信託報酬の高いアクティブファンドですので、「持ちっぱなし(ほったらかし)」にしているだけで高い手数料を取られますし、持っていても数年で償還される可能性もあります。
「乗り換えていく」ということなら、解約時に出た利益に対してキッチリ税金を払いつつ、信託財産留保額(投信を解約する時にかかる手数料)や、新たに購入手数料(投信を買い付けた時の手数料)を支払う必要があります。
いずれにせよ手数料による資産の目減りは回避できません。
高額なコストを差し引いても利益を出し続ける投信を、保険料払込期間の数十年の間ずっと選び取り続けることなど普通の人ができるのでしょうか。
分配金の多さは成績とは無関係ですから、少なくとも素人には無理ではないかと思うのです。
よほどアクティブファンドの選定眼が優れていないと…
長期運用に向かない商品で長期型商品をどうやって運用していくのか、数十年後どころか3年後のビジョンすら私の貧困な経験と知識と想像力では見い出せません。
【お詫び】
私が無知なためか良い所が見つけられず随分と「~ない」を連呼するネガティブな文章になってしまいましたが、考え方は人それぞれですのでこの運用方法を採用している人を否定するつもりはありません。
ともあれ視野は広く持ちたいところ。
実は私の気づいていない素晴らしいメリットがあるのかもしれません。
「いやいやそうじゃなくてこういう運用意図で行っているんだよ」「いやいや実はこれにはこういうメリットがあってだな…」「いやそもそも保険は数十年解約しないという前提が違うのだよ。決めつけないでくれたまえ」ということがございましたらご存知の方は教えてください先輩。
運用なんて個人で好きなものを好きなように買えば良いことですが、妙な「お得感」だけで仕組みやコストもわからずに買ってしまうことは避けたいものですね。
このエントリーについて考えるうちに保険にかかる税金についてもうちょっと調べたくなってきたよ…

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