自分が証券会社のセールスマンなら…
元証券会社勤務のお方から とてもおもしろい質問をいただいたので、ちょっと考えてみたいと思います。
-------------
~前略~
信託報酬や買付手数料の問題はたしかにありますが、 青天井相場でのキャピタルゲインを犠牲にして、
膠着相場や下落相場で有利となり収益性が安定する (つまりローリスク・ローリターン化し、損益曲線を安定させる)
カバードコールを組み込んでいる分配型ファンドというのは 資産取り崩し期にある70代以降の人にとっては結構意味がある商品かもしれません。
でも、その年代の人にはたぶん仕組みを理解してもらうのが 全世代の中で最も難しいというジレンマもある気がします。
さて、本人は仕組みが理解できないけれど、 本質的なニーズに適合するかもしれない商品があり 自分の言うことならそれに合わせて投資行動を行うカスタマーが目の前に居るとしたら、ITTINさんが FPやセールスの立場だったらどうしますか?
マイケル・サンデルが立てそうなタイプの問いですが、
でも、ちょっと聞いてみたくなってしまって^^
--コメント終わり---
私は立場としては顧客側、「カモ」の方なのですが。
売る側の立場になって考えてみるというのは楽しいですね。
-------------
~前略~
信託報酬や買付手数料の問題はたしかにありますが、 青天井相場でのキャピタルゲインを犠牲にして、
膠着相場や下落相場で有利となり収益性が安定する (つまりローリスク・ローリターン化し、損益曲線を安定させる)
カバードコールを組み込んでいる分配型ファンドというのは 資産取り崩し期にある70代以降の人にとっては結構意味がある商品かもしれません。
でも、その年代の人にはたぶん仕組みを理解してもらうのが 全世代の中で最も難しいというジレンマもある気がします。
さて、本人は仕組みが理解できないけれど、 本質的なニーズに適合するかもしれない商品があり 自分の言うことならそれに合わせて投資行動を行うカスタマーが目の前に居るとしたら、ITTINさんが FPやセールスの立場だったらどうしますか?
マイケル・サンデルが立てそうなタイプの問いですが、
でも、ちょっと聞いてみたくなってしまって^^
--コメント終わり---
私は立場としては顧客側、「カモ」の方なのですが。
売る側の立場になって考えてみるというのは楽しいですね。
「難しい単語が多くてよくわからなかったよ!」と思った方は、つまりこういうことです。
”あなたは証券会社のセールスマン。もしくは紹介した商品を顧客が買うと紹介手数料がもらえるFP。
顧客として相談にやってきたばあちゃんに商品の仕組みを説明しても理解してもらえないが、顧客の潜在ニーズに合う(と自分が判断した)商品がある。
ばあちゃんは「仕組みは全然わからないから、あなたがいいものだと言うなら契約するわよ~」と言っている。
さあ、どうする?”
ということにしておきましょう。
これが”消費者(顧客)が自分”の立場だと、
「よくわからないものには投資するな」
「投資の損失は全て自己責任」
という大原則に則って”良さそうに見えるものでも投資しない”という結論になるのですが。
これが”自分が販売側(セールスマン)”の立場に立ってみると、また変わってきますね。
さて、このような状況に置かれた時の選択肢として(正否は別として)思い浮かんだのは以下の通りですが…
※「ノルマ商品をできる限り多くの人に売らないとセールスマンとして致命的」という実質的な問題は質問の趣旨と外れるので除外しています
1.「わからないものには投資しない」の法則を適用しばあちゃんへの商品紹介を見送る(売らない)
2.「これが合っていますよ。でも損する可能性もありますよ」とリターンとリスクをわかりやすく簡略化して、自分がばあちゃんに最も合っている(売りたい)と思う商品をおすすめする(売る)
3.収益性が落ちても、ばあちゃんに理解できるくらい簡単な仕組みの商品を探って選択肢を用意する(売る)
私がセールス側であれば、このうち3番を選択します。
「商品の妥協」とも取れる選択ですが、要は限られた時間の中で「顧客の理解度とニーズの折り合いがつくラインを探る」ということです。
理由は非常に簡単です。
私がばあちゃんなら1番より2番より、3番のセールスマンに当たりたいから。
ちなみに他の選択肢ですが…
1番は顧客に購買意欲があり、顧客ニーズにマッチしている商品があるかもしれないのに説明努力を放棄するということ。これを選ぶと「顧客側の”運用したい”というニーズを満たさず、かつ客を逃して弊社の売上にもならない」=「顧客の利益にも会社の利益にもならない、まさしく”セールスマンとして限りなく無能”」です。 転職転職ゥ!
2番は顧客が正しくリスクを理解しないまま売るということになるので、
後々「いいものだと勧められたから買ったのに、騙された!損するなんて聞いてない!」というクレームになりかねない危険性を孕むとともに、顧客の本当に望む資産運用になるとは限りません。
でもまあ現実は「売りたいものを売りつける」のが一番多いのでは?推測ですが…
一見ニーズを満たしているように見えても、、「これくらいなら損してもいいと思っているのよ」と本人が認識している”意識下の許容リスク”と、実際損失を被ってみることで感じる心理的負担、”無意識下の許容リスク”は違います。
意識下の許容リスクに合わせて商品や投資額を決定したとしても、いざ損失を被り無意識下での許容リスクを超えた場合、人任せで商品を選んだ人の感情は「騙された!」という怒り。そして怒りの矛先は商品を売った人(会社)です。
顧客が「これくらいならいいかなあ」と思う損失のライン(許容リスク)が、実際の商品のリスクと乖離している可能性がある以上、最適な商品にはなり得ないのでは。と思います。
3番は商品の選定も説明も難しいところではありますが、
「何千とある投資商品のうち、ばあちゃんのニーズに合わない もしくはばあちゃんが理解できるものが一つもない」というのであれば、結果的に1番(売らない)ということになるかもしれないのでしょうけれども。
ばあちゃんのニーズを満たす商品が「カバードコールの組み込まれた分配型投信だけ」ということはまずなかろうと思います。
「何が最適か」挙げた時、判断する者の知識により当然選択肢は異なります。
売る側の知識と説明能力が高いほど、顧客に合わせて様々な選択肢を選び、提示できます。
例にあるようにカバードコールを組み込んだ分配型投信がばあちゃんに最適と(自分が)判断したとしても、ばあちゃんが正しくリスクを理解できなければ、結果的に損益曲線を安定化させるメリットがあるカバードコール投信ではなく別の商品を勧める可能性もあるということです。
(ノルマ商品? さあ…)
例えばばあちゃんのニーズと最も近い(と自分が思う)商品がカバードコールを組み込んでいる分配型投信だったとして、「筆舌を尽くして誠心誠意説明しても全くカバードコールの仕組みを理解できないばあちゃん」は世の中多いでしょうけれども、それらのばあちゃんの中には
「カバードコールはわからないが、分配型投信の仕組みは理解できる(理解しようとしている)ばあちゃん」
「為替リスクなどの損失を被るリスクがあるということなら理解できるばあちゃん」
「全然わからないわ~リスクってなあに?理解する気もないわ~と丸投げのばあちゃん」
と様々なばあちゃんがいます。
ばあちゃんの希望や理解度や許容リスクのラインを会話や質問から探り、本人の理解度や許容度に合わせた選択肢を用意するのが顧客の求めるニーズと合致しているのではないでしょうか。
結果的に「預貯金」に落ち着くかもしれませんけどね…
基本的に窓口に相談に来る大多数の顧客は
「詳しい人に相談すれば、自分に合った商品をプロの人が選んでくれるだろう」
という目論見でやってくると思います。
知らないから(説明してほしいから)窓口くんだりまでわざわざ来ているわけです。
「丸投げばあちゃん」や「まだバブル時代のつもりで来るばあちゃん」が多すぎて証券マンが頭を悩ませているとかそういう実態があってもおかしくないのですが、わざわざ資産運用の相談に行くような人は基本的にマネーリテラシーや資産額は世の中多くいるであろう預貯金だけしか持っていないばあちゃんより上だと考えます。
いくら老後が不安になって相談しに来ているとはいえ、運用できる資産がないとそもそも相談しに行きませんよねえ。
わかりやすく提示された選択肢の中から選ぶということはできるでしょう。
これは私が専門馬鹿職の会社員ということも関係あるかもしれませんが、
プロならその分野について全て網羅する努力すべき。という考えが当然のようにあります。
運用のプロを名乗って相談窓口に座っているのなら全部網羅していてほしいというのが本音です。
ノルマ商品だけを推し進めてくるセールスマンや一つの保険だけ契約させようとする生保レディーのところに、自分のおばあちゃん向かわせたくないよね。
それこそ何千とある様々な選択肢の中から、自分に合ったプランを提示してくれる人がいいですよね。
となるとカスタマーのリテラシーや理解度の低さを問題にするだけでなく、売る側の知識や判断力の向上も求められます。
自分が証券会社のセールスマンなら、投資商品について勉強し続けるでしょうね。
「ばあちゃん」て書きすぎてゲシュタルト崩壊してきた

にほんブログ村
”あなたは証券会社のセールスマン。もしくは紹介した商品を顧客が買うと紹介手数料がもらえるFP。
顧客として相談にやってきたばあちゃんに商品の仕組みを説明しても理解してもらえないが、顧客の潜在ニーズに合う(と自分が判断した)商品がある。
ばあちゃんは「仕組みは全然わからないから、あなたがいいものだと言うなら契約するわよ~」と言っている。
さあ、どうする?”
ということにしておきましょう。
これが”消費者(顧客)が自分”の立場だと、
「よくわからないものには投資するな」
「投資の損失は全て自己責任」
という大原則に則って”良さそうに見えるものでも投資しない”という結論になるのですが。
これが”自分が販売側(セールスマン)”の立場に立ってみると、また変わってきますね。
さて、このような状況に置かれた時の選択肢として(正否は別として)思い浮かんだのは以下の通りですが…
※「ノルマ商品をできる限り多くの人に売らないとセールスマンとして致命的」という実質的な問題は質問の趣旨と外れるので除外しています
1.「わからないものには投資しない」の法則を適用しばあちゃんへの商品紹介を見送る(売らない)
2.「これが合っていますよ。でも損する可能性もありますよ」とリターンとリスクをわかりやすく簡略化して、自分がばあちゃんに最も合っている(売りたい)と思う商品をおすすめする(売る)
3.収益性が落ちても、ばあちゃんに理解できるくらい簡単な仕組みの商品を探って選択肢を用意する(売る)
私がセールス側であれば、このうち3番を選択します。
「商品の妥協」とも取れる選択ですが、要は限られた時間の中で「顧客の理解度とニーズの折り合いがつくラインを探る」ということです。
理由は非常に簡単です。
私がばあちゃんなら1番より2番より、3番のセールスマンに当たりたいから。
ちなみに他の選択肢ですが…
1番は顧客に購買意欲があり、顧客ニーズにマッチしている商品があるかもしれないのに説明努力を放棄するということ。これを選ぶと「顧客側の”運用したい”というニーズを満たさず、かつ客を逃して弊社の売上にもならない」=「顧客の利益にも会社の利益にもならない、まさしく”セールスマンとして限りなく無能”」です。 転職転職ゥ!
2番は顧客が正しくリスクを理解しないまま売るということになるので、
後々「いいものだと勧められたから買ったのに、騙された!損するなんて聞いてない!」というクレームになりかねない危険性を孕むとともに、顧客の本当に望む資産運用になるとは限りません。
でもまあ現実は「売りたいものを売りつける」のが一番多いのでは?推測ですが…
一見ニーズを満たしているように見えても、、「これくらいなら損してもいいと思っているのよ」と本人が認識している”意識下の許容リスク”と、実際損失を被ってみることで感じる心理的負担、”無意識下の許容リスク”は違います。
意識下の許容リスクに合わせて商品や投資額を決定したとしても、いざ損失を被り無意識下での許容リスクを超えた場合、人任せで商品を選んだ人の感情は「騙された!」という怒り。そして怒りの矛先は商品を売った人(会社)です。
顧客が「これくらいならいいかなあ」と思う損失のライン(許容リスク)が、実際の商品のリスクと乖離している可能性がある以上、最適な商品にはなり得ないのでは。と思います。
3番は商品の選定も説明も難しいところではありますが、
「何千とある投資商品のうち、ばあちゃんのニーズに合わない もしくはばあちゃんが理解できるものが一つもない」というのであれば、結果的に1番(売らない)ということになるかもしれないのでしょうけれども。
ばあちゃんのニーズを満たす商品が「カバードコールの組み込まれた分配型投信だけ」ということはまずなかろうと思います。
「何が最適か」挙げた時、判断する者の知識により当然選択肢は異なります。
売る側の知識と説明能力が高いほど、顧客に合わせて様々な選択肢を選び、提示できます。
例にあるようにカバードコールを組み込んだ分配型投信がばあちゃんに最適と(自分が)判断したとしても、ばあちゃんが正しくリスクを理解できなければ、結果的に損益曲線を安定化させるメリットがあるカバードコール投信ではなく別の商品を勧める可能性もあるということです。
(ノルマ商品? さあ…)
例えばばあちゃんのニーズと最も近い(と自分が思う)商品がカバードコールを組み込んでいる分配型投信だったとして、「筆舌を尽くして誠心誠意説明しても全くカバードコールの仕組みを理解できないばあちゃん」は世の中多いでしょうけれども、それらのばあちゃんの中には
「カバードコールはわからないが、分配型投信の仕組みは理解できる(理解しようとしている)ばあちゃん」
「為替リスクなどの損失を被るリスクがあるということなら理解できるばあちゃん」
「全然わからないわ~リスクってなあに?理解する気もないわ~と丸投げのばあちゃん」
と様々なばあちゃんがいます。
ばあちゃんの希望や理解度や許容リスクのラインを会話や質問から探り、本人の理解度や許容度に合わせた選択肢を用意するのが顧客の求めるニーズと合致しているのではないでしょうか。
結果的に「預貯金」に落ち着くかもしれませんけどね…
基本的に窓口に相談に来る大多数の顧客は
「詳しい人に相談すれば、自分に合った商品をプロの人が選んでくれるだろう」
という目論見でやってくると思います。
知らないから(説明してほしいから)窓口くんだりまでわざわざ来ているわけです。
「丸投げばあちゃん」や「まだバブル時代のつもりで来るばあちゃん」が多すぎて証券マンが頭を悩ませているとかそういう実態があってもおかしくないのですが、わざわざ資産運用の相談に行くような人は基本的にマネーリテラシーや資産額は世の中多くいるであろう預貯金だけしか持っていないばあちゃんより上だと考えます。
いくら老後が不安になって相談しに来ているとはいえ、運用できる資産がないとそもそも相談しに行きませんよねえ。
わかりやすく提示された選択肢の中から選ぶということはできるでしょう。
これは私が専門
プロならその分野について全て網羅する努力すべき。という考えが当然のようにあります。
運用のプロを名乗って相談窓口に座っているのなら全部網羅していてほしいというのが本音です。
ノルマ商品だけを推し進めてくるセールスマンや一つの保険だけ契約させようとする生保レディーのところに、自分のおばあちゃん向かわせたくないよね。
それこそ何千とある様々な選択肢の中から、自分に合ったプランを提示してくれる人がいいですよね。
となるとカスタマーのリテラシーや理解度の低さを問題にするだけでなく、売る側の知識や判断力の向上も求められます。
自分が証券会社のセールスマンなら、投資商品について勉強し続けるでしょうね。
「ばあちゃん」て書きすぎてゲシュタルト崩壊してきた

にほんブログ村
