四階建て投信について考えてみた
そういえば少し前に、二階建て投信ならぬ三階建て・四階建て投信が話題になりました。
最近もじわりじわりと話題になっていますね。
およそ金融知識の片鱗もない私には、一番初めにこれを聞いた時はただ「〇階建て投信ってなんだろう、複雑そうだなあ」としか思いませんでしたが、
「このファンドを保有しないとしまっちゃうおじさんにしまわれちゃうよ」と言われて保有しなければならなくなった事態を想定して、このファンドについて考えてみようと思います。
しまわれちゃうことに比べたら、投信を買うことくらい易いものです。
四階建て投信の代表格と言えばパッと思い浮かぶのは「日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)」でしょうか。
日本株アルファ・カルテットを買わないとしまわれちゃうよ。
そんな時、何に留意しておくべきなのでしょうか。
最近もじわりじわりと話題になっていますね。
およそ金融知識の片鱗もない私には、一番初めにこれを聞いた時はただ「〇階建て投信ってなんだろう、複雑そうだなあ」としか思いませんでしたが、
「このファンドを保有しないとしまっちゃうおじさんにしまわれちゃうよ」と言われて保有しなければならなくなった事態を想定して、このファンドについて考えてみようと思います。
しまわれちゃうことに比べたら、投信を買うことくらい易いものです。
四階建て投信の代表格と言えばパッと思い浮かぶのは「日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)」でしょうか。
日本株アルファ・カルテットを買わないとしまわれちゃうよ。
そんな時、何に留意しておくべきなのでしょうか。
日本株アルファ・カルテットとは「カルテット(四重奏)」の単語が示唆する通り、4つの方法で収益獲得を目指す投資信託。
4つの方法とは、
だそうです。
意味がわからんと思った人、大丈夫です私もわかりません。
「カバードコール」はオプション取引。
目論見書を拝見すると通貨・株式ともにコールオプションの売り と書いてくれており、このファンド保有において気を付けるべきことがほわ~んと連想されますので並べてみます。
(あくまで投資素人の私の連想ゲームです)
◇少なくともオプション取引部分においては収益は限定されていて、損失は無制限であるということ
オプション取引、と聞くと私のイメージでは機関投資家のリスクヘッジ(保険)に使われる印象なんですが。
特定の日に特定の値で売買できる権利を”買い”、本命の投資に「もしも」が起きた時には権利行使して本命投資の損失を限定する。
という使い方をするのが一般的…というイメージ。あくまで投資初心者の私個人の妄想ですが。
個人投資家でも大勝負の時に、オプションを買って保険をかける人もいる…というイメージがある。が、これは”買い”の場合。
「コールオプションの”売り”」と言うとこれの逆で。
プレミアムという限定的な利益を受け取れる代わりに、オプションの期日に原資産が値上がりしているとその分損失になり、その上限はありません。
オプション取引という仕組みを保険に例えて言うと、このファンドを買った人は「保険会社側」に属するというイメージが近いのではないかと思います。
保険料(プレミアム)をコツコツもらえるものの、相場の大きな変動(事故)で損失が出た場合には、事前にプレミアムを払った人の代わりに発生した損失を全て負わねばならないというイメージです。
そして、その保障額は無制限。
事故が起きた時、この保険会社が支払うのは100万円かもしれないし、1億円かもしれない。もっと多いかもしれない。
でも、事故なんて起こらなければ保険料を得られますし、事故が起こる可能性はまれです。
相場の一部を切り取った時、暴落や暴騰が起こっている可能性の方が低い。
ともあれ本当の保険であれば加入すればするほど保険会社が儲かるようにできていますが、相場では誰が得をするのかは誰にもわかりません。
ゆるやかな相場では生き残れるが、大きく変動するとドボン。
相場の変動が小さければ、プレミアムもコツコツもらえるし権利行使される可能性もそう高くはありません。
が、ひとたび何かが起こると満期日に必ずその値で取引せねばならないので、損失は天井なし。
したがって、コールオプションの売り戦略で固められたファンドは「コツコツドカンを留意すべき戦略」と言えましょう。
私はしがない個人なので人様に買ってはいけないと啓蒙するつもりもないのですが、少なくとも購入を検討する場合にはこういったリスクを加味する必要があるのではないかと思います。
◇原資産の成長を期待するファンドではないよね、ということ
今私が行っているインデックス投資などでは、資産の成長を期待してホールドしている、という背景もあるのですが。
このファンドが必須とする戦略が「コールオプションの売り」である限り、原資産(この場合は投資している日本株と高金利通貨)が値上がりしても、その値上がり益はオプションの損失で相殺されるということを読み取らないといけないよね。
「値上がり益の一部を放棄」という記載がありますが、実際は一部とは限りません。
考えられる損失に上限がないので、場合によっては一部どころか大部分を放棄する可能性もあるということです。
かといって原資産の価値が下落した場合に利益を得られるというわけでもなく、プレミアムを超える暴落があった時は普通に損失を被るしで、なかなか難しいところです。
この船の基本設計として、穏やかな海なら平和に航海できるけれど、荒波を超えるようには設計されていないと考えるのが妥当かなあと思いました。
すみません、個人の感想ですけど考えれば考えるほどカバードコール要らんのちゃう?
◇では、機動的売買なら?
上記の仕組みの通り、持っているだけでいつかはドボンになるリスクを抱えているわけで、かつ保有コスト(信託報酬)も実質年1.902%(税込)かかる上、仕組みは毎月分配型ということで明らかにこのファンドは長期保有向きではないだろうと素人の私でさえ思います。
もちろん儲かることもあるのかもしれませんが、仕組み上の話です。
なお、実質のコストは私が試算したものではなく、目論見書に記載されている数字です。
参考URL
となると、真の実質コストは…ゴホン
持ちっぱなしはドボンリスクを常にはらんでいて、怖い。
でも買わないとしまわれちゃう。
では短期的な売買ならどうか。
しかし…このファンド、購入金額に対して買付手数料が3.78%(税込)もかかります。
売買のたびに元本から3.78%もの手数料が差っ引かれていき、繰り返すほど手数料で負ける可能性が高い、ということを考慮する必要があるでしょう。
※3/18追記:ネット証券の買付なら買付手数料無料と情報をいただきました(ネット証券でも対面販売は手数料が発生します)。売却時の信託財産留保額(投信を売る時に差し引かれる手数料)0.3%を考慮すれば良さそうです。
◇評価基準となるべきベンチマークが無いよね
自分で個別銘柄を売買するにしろ、インデックス投資でほったらかしにするにしろ、ベンチマークの設定は個人的には重要だと思っています。
自分で国内の個別株の売買に勤しむ場合でもTOPIXなり日経平均株価なりを参考にするでしょうし、指数に連動を目指すインデックスファンドは言わずもがな。インデックスが存在しないインデックスファンドは見たことがありませんし、それはインデックスファンドではないのでしょう。
指数以上の成績を目指すアクティブファンドでも、ベンチマークと比較してその優劣を評価します。
日本株アルファ・カルテットは強いて挙げれば日本株…ということになるのかもしれませんが、4つの戦略を謳うだけあってベンチマークが存在しません。
いや実はあるのかもしれませんが、知識の無い私には探せませんでした。
個人的な感想ですが、自分で優劣が比較できない金融商品はリスキーです。
◇買いはしないが、別に買っている人を批判するわけでもない
投資対象を気に入って買っている人にとっては、上記の論評は「そんなことは百も承知」のことであり、釈迦に説法とも言えるでしょう。
「俺はコールオプションの売りで勝負したいんだ!」
「アクティブファンドとして評価しているんだ!」
「プレミアム分を超える暴落が起こるはずない、起こっても自分は売り抜けるから大丈夫!」
という人もいらっしゃるのでしょうし、素人の私が人様の投資判断にケチをつける理由も事情もありません。
目論見書に手数料も投資対象もリスクも全て書いてあるのですから、同意して買った時点で理解したものと法的にはみなされ、発生した損失は自分が負うものです。
私はところどころで「素人」や「初心者」を自称していますが、この点においては初心者かどうかなど一切関係がなく平等。
自分で買った金融商品の損失は自己責任です。
なので特にこれを買っている人を批判したり、馬鹿にするつもりは毛頭ありません。
でももしかしたら、「プレミアム」とか「カバードコール戦略」とかいうちょっとカッコイイ響きに惹かれて上記のリスクが連想されないままなんとなく投資していたり、一体このファンドが何に投資しているのかわかっていなかったり、分配金が一体何から支払われるのかわからないまま分配金の多さで選んでしまった。
という懸念すべき理由でファンドを買っている人も中にはいらっしゃるのかもしれません。
よくわからないまま買ってしまうと、損失を被った時に後悔してしまうこともあります。
買ってみたものの損になってしまって今しょんぼりしている人でも、これから投資しようかなと興味を持った人でも、許容リスク内に投資金額を抑えることで「取り返しのつかない大失敗」は防げるのかも。
別に多階建て投信に限りませんが、もし何かの金融商品をよく理解しないまま買って失敗したり、後悔してしまったとしても、しまわれちゃうことに比べたら人生の中では些末なことです。
FXでも、個別株投資でも、優待株投資でも、多階建て分配型投信への投資でも、インデックス投資でも。
どんな投資法を選択しても、まずは少額から始めれば死にはしません。
辿り着く手法は人それぞれでしょうが、自分の許容内に金額をおさめて投資したいな、と思うのでした。
しまっちゃうおじさんにしまわれないようにしなきゃ。
4つの方法とは、
・日本株(配当・株式の値上がり益)
・高金利通貨戦略(為替取引によるプレミアム・為替差益)
・株式カバードコール戦略(株価指数オプションプレミアム・値上がり益の一部を放棄)
・通貨カバードコール戦略(通貨オプションプレミアム・為替差益の一部を放棄)
だそうです。
意味がわからんと思った人、大丈夫です私もわかりません。
「カバードコール」はオプション取引。
目論見書を拝見すると通貨・株式ともにコールオプションの売り と書いてくれており、このファンド保有において気を付けるべきことがほわ~んと連想されますので並べてみます。
(あくまで投資素人の私の連想ゲームです)
◇少なくともオプション取引部分においては収益は限定されていて、損失は無制限であるということ
オプション取引、と聞くと私のイメージでは機関投資家のリスクヘッジ(保険)に使われる印象なんですが。
特定の日に特定の値で売買できる権利を”買い”、本命の投資に「もしも」が起きた時には権利行使して本命投資の損失を限定する。
という使い方をするのが一般的…というイメージ。あくまで投資初心者の私個人の妄想ですが。
個人投資家でも大勝負の時に、オプションを買って保険をかける人もいる…というイメージがある。が、これは”買い”の場合。
「コールオプションの”売り”」と言うとこれの逆で。
プレミアムという限定的な利益を受け取れる代わりに、オプションの期日に原資産が値上がりしているとその分損失になり、その上限はありません。
オプション取引という仕組みを保険に例えて言うと、このファンドを買った人は「保険会社側」に属するというイメージが近いのではないかと思います。
保険料(プレミアム)をコツコツもらえるものの、相場の大きな変動(事故)で損失が出た場合には、事前にプレミアムを払った人の代わりに発生した損失を全て負わねばならないというイメージです。
そして、その保障額は無制限。
事故が起きた時、この保険会社が支払うのは100万円かもしれないし、1億円かもしれない。もっと多いかもしれない。
でも、事故なんて起こらなければ保険料を得られますし、事故が起こる可能性はまれです。
相場の一部を切り取った時、暴落や暴騰が起こっている可能性の方が低い。
ともあれ本当の保険であれば加入すればするほど保険会社が儲かるようにできていますが、相場では誰が得をするのかは誰にもわかりません。
ゆるやかな相場では生き残れるが、大きく変動するとドボン。
相場の変動が小さければ、プレミアムもコツコツもらえるし権利行使される可能性もそう高くはありません。
が、ひとたび何かが起こると満期日に必ずその値で取引せねばならないので、損失は天井なし。
したがって、コールオプションの売り戦略で固められたファンドは「コツコツドカンを留意すべき戦略」と言えましょう。
私はしがない個人なので人様に買ってはいけないと啓蒙するつもりもないのですが、少なくとも購入を検討する場合にはこういったリスクを加味する必要があるのではないかと思います。
◇原資産の成長を期待するファンドではないよね、ということ
今私が行っているインデックス投資などでは、資産の成長を期待してホールドしている、という背景もあるのですが。
このファンドが必須とする戦略が「コールオプションの売り」である限り、原資産(この場合は投資している日本株と高金利通貨)が値上がりしても、その値上がり益はオプションの損失で相殺されるということを読み取らないといけないよね。
「値上がり益の一部を放棄」という記載がありますが、実際は一部とは限りません。
考えられる損失に上限がないので、場合によっては一部どころか大部分を放棄する可能性もあるということです。
かといって原資産の価値が下落した場合に利益を得られるというわけでもなく、プレミアムを超える暴落があった時は普通に損失を被るしで、なかなか難しいところです。
この船の基本設計として、穏やかな海なら平和に航海できるけれど、荒波を超えるようには設計されていないと考えるのが妥当かなあと思いました。
すみません、個人の感想ですけど考えれば考えるほどカバードコール要らんのちゃう?
◇では、機動的売買なら?
上記の仕組みの通り、持っているだけでいつかはドボンになるリスクを抱えているわけで、かつ保有コスト(信託報酬)も実質年1.902%(税込)かかる上、仕組みは毎月分配型ということで明らかにこのファンドは長期保有向きではないだろうと素人の私でさえ思います。
もちろん儲かることもあるのかもしれませんが、仕組み上の話です。
なお、実質のコストは私が試算したものではなく、目論見書に記載されている数字です。
参考URL
となると、真の実質コストは…ゴホン
持ちっぱなしはドボンリスクを常にはらんでいて、怖い。
でも買わないとしまわれちゃう。
では短期的な売買ならどうか。
しかし…このファンド、購入金額に対して買付手数料が3.78%(税込)もかかります。
売買のたびに元本から3.78%もの手数料が差っ引かれていき、繰り返すほど手数料で負ける可能性が高い、ということを考慮する必要があるでしょう。
※3/18追記:ネット証券の買付なら買付手数料無料と情報をいただきました(ネット証券でも対面販売は手数料が発生します)。売却時の信託財産留保額(投信を売る時に差し引かれる手数料)0.3%を考慮すれば良さそうです。
◇評価基準となるべきベンチマークが無いよね
自分で個別銘柄を売買するにしろ、インデックス投資でほったらかしにするにしろ、ベンチマークの設定は個人的には重要だと思っています。
自分で国内の個別株の売買に勤しむ場合でもTOPIXなり日経平均株価なりを参考にするでしょうし、指数に連動を目指すインデックスファンドは言わずもがな。インデックスが存在しないインデックスファンドは見たことがありませんし、それはインデックスファンドではないのでしょう。
指数以上の成績を目指すアクティブファンドでも、ベンチマークと比較してその優劣を評価します。
日本株アルファ・カルテットは強いて挙げれば日本株…ということになるのかもしれませんが、4つの戦略を謳うだけあってベンチマークが存在しません。
いや実はあるのかもしれませんが、知識の無い私には探せませんでした。
個人的な感想ですが、自分で優劣が比較できない金融商品はリスキーです。
◇買いはしないが、別に買っている人を批判するわけでもない
投資対象を気に入って買っている人にとっては、上記の論評は「そんなことは百も承知」のことであり、釈迦に説法とも言えるでしょう。
「俺はコールオプションの売りで勝負したいんだ!」
「アクティブファンドとして評価しているんだ!」
「プレミアム分を超える暴落が起こるはずない、起こっても自分は売り抜けるから大丈夫!」
という人もいらっしゃるのでしょうし、素人の私が人様の投資判断にケチをつける理由も事情もありません。
目論見書に手数料も投資対象もリスクも全て書いてあるのですから、同意して買った時点で理解したものと法的にはみなされ、発生した損失は自分が負うものです。
私はところどころで「素人」や「初心者」を自称していますが、この点においては初心者かどうかなど一切関係がなく平等。
自分で買った金融商品の損失は自己責任です。
なので特にこれを買っている人を批判したり、馬鹿にするつもりは毛頭ありません。
でももしかしたら、「プレミアム」とか「カバードコール戦略」とかいうちょっとカッコイイ響きに惹かれて上記のリスクが連想されないままなんとなく投資していたり、一体このファンドが何に投資しているのかわかっていなかったり、分配金が一体何から支払われるのかわからないまま分配金の多さで選んでしまった。
という懸念すべき理由でファンドを買っている人も中にはいらっしゃるのかもしれません。
よくわからないまま買ってしまうと、損失を被った時に後悔してしまうこともあります。
買ってみたものの損になってしまって今しょんぼりしている人でも、これから投資しようかなと興味を持った人でも、許容リスク内に投資金額を抑えることで「取り返しのつかない大失敗」は防げるのかも。
別に多階建て投信に限りませんが、もし何かの金融商品をよく理解しないまま買って失敗したり、後悔してしまったとしても、しまわれちゃうことに比べたら人生の中では些末なことです。
FXでも、個別株投資でも、優待株投資でも、多階建て分配型投信への投資でも、インデックス投資でも。
どんな投資法を選択しても、まずは少額から始めれば死にはしません。
辿り着く手法は人それぞれでしょうが、自分の許容内に金額をおさめて投資したいな、と思うのでした。
しまっちゃうおじさんにしまわれないようにしなきゃ。
